俺の名前はめじぇちん。
ひょんなことから、探偵の仕事をすることになった。
仕事が入るのはいいが、うちに来るのは一風変わった珍事件ばかりだ。
チチチチチ〜ン♪
チチチチチ〜ン♪
「めじぇちんやで〜。」
「ん?なんやそれ〜。いくわ〜。」
また、珍な香りのする事件のようだ。
ちんちゃんたちに、ごはんをあげてから出発するとしよう。
「みんな〜ごはんやで〜。」
自由ににょきにょきと動きながら、みんな美味しそうに食べている。
「うまいか?」
ちんちゃんたちのために、今日も仕事に出る。
「いってくるわ〜。今日もゆらゆらしててな〜!」
そう、俺はチンアナゴが大好きなメジェド。めじぇちん。
現場に到着すると、何やら甘い香りがする。
先に到着していたアヌちゃんが、尻尾をピンと伸ばしてこっちに向かってきた。
「めじぇちん!これは大変だよ!!はやくきて!!」
アヌちゃんに付いていくと、そこには見たことのあるシルエットが床に書かれていた。
「これってもしかして、あの子かな?到着した時、被害者の姿はなかったんだって!」
これはまずい。本当にあいつだとしたら・・・
「ねえめじぇちん!はやく調べて!」
アヌちゃんは行動は早いが、特に仕事ができるわけではない。
でもかわいい。
「現場に残されたのは、アメちゃんとエビフライか。」
エビフライを見て、今朝ちんちゃんたちにあげたプランクトンを思い出していた。
今日は、みんなが大好きなホワイトシュリンプをあげてきた。
あの嬉しそうな姿がたまらない。
「ちんちゃんたち、ゆらゆらしてるかな〜。」
そんなことを考えていると、アヌちゃんがにこにこしながら話しかけてきた。
「このアメ、ぼくもすきなやつ!すっごく美味しいんだ!」
見たところ普通の見た目をしている。
「あのね!これ、もずく味なんだよ!!」
「ほんまか!!!!」
もずく・・・
つい最近知った食べ物だ。
俺の友達の人間が、もずくの存在を教えてくれた。
ねばねばして、ちゅるっとして、ちょっと酸っぱいらしい。
話を聞いてから、もずくのことが頭から離れなかった。
隣のおばちゃんに付いてきてもらって、今日は帰りに近所のスーパーで買って帰る予定だった。
「もずく味のアメ、気になるわ〜。調べてみよか。」
近づいて調べてみることにした。
「ねえ、めじぇちん!何か分かりそう?」
「めじぇちん?」
「ふおぉぉん!!」
今すぐに行かなくてはいけない。
俺は思いのままに走り出した。
「ここや!!」
目の前の光景に目が奪われた。
口いっぱいに広がる海の味…
なんともかぐわしい磯の香り…
「できたて…」
「おっちゃん!ひとつたのむわ〜!」
「はいよ。ちょっと待ってなー。」
おっと、先客が居たようだ。
「ななごろやん!」
もずく飴屋さんには、ちんななことにしあなごろうが並んでいた。
「お待ちどうさん。キュートなぼっちゃん。」
俺はキュートなのか…
悪くない。
ななごろと一緒に、出来立ての飴を食べながら話すことにした。
ごろうさんは、ななちゃんが持たせたもずく飴を食べてぐっすりお昼寝をしていた。
その後ななちゃんが起こしにきて、一緒にもずく飴を買いに来たらしい。
ななちゃんが来るちょっと前に警察が来たんやな。
俺か?俺はあの時もずく飴のうまさに衝撃を受けて、匂いを頼りに走り出したんや。
そういえば、アヌちゃんはどうしたっけな。
まあええか〜。
半年後
「うまいで〜。もずくたっぷりやで〜。」
「ちんちゃんたちもオススメしてるで〜。」
屋台でちんあなごと一緒に働くめじぇちんであった。
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